アイクリスタル代表の髙石将輝から当社の歩みをご紹介します
アイクリスタルは2019年11月、名古屋大学に本社を構えスタートアップとしてスタートしました
- 2017年 ルーツは半導体結晶成長へのAI活用
当社のルーツは、名古屋大学で半導体結晶成長を研究する宇治原研究室です。研究対象の炭化ケイ素(SiC)は1回の実験に1週間を要するため、数台の大学設備だけでは試行錯誤の回数に限界がありました。 私が研究する1年前から宇治原研究室では、当時画像認識で注目を浴びていた機械学習を材料開発に応用することで、仮想的に製造装置を構築、さらにはコンピュータ上での仮想的な試行錯誤を行う仕組みを構築していました。この技術が当時はまだそれほど知られていなかった「プロセスインフォマティクス(PI)」であり、当社技術のルーツです。
- 2018年 研究室に入り、ものづくり現場でのAIの可能性を確信
学部4年生に宇治原研究室に入りました。自分の研究テーマと並行して、PI領域で民間の大企業との共同研究プロジェクトをこなす中で、「AIでさまざまな製造プロセスを最適化できるのではないか」と強く感じるようになりました。半導体に限らず、鉄鋼やガラス、電子部品など、異なる製造プロセスを経験する中で、事業化の糸口を探しました。
- 2019年 夏 起業準備開始
大学院に進学した2019年、PIを事業化したい気持ちが高まりました。
宇治原教授(現 アイクリスタル取締役)もSiC開発のスタートアップを設立したいと考えていて、上場経験のある牧野隆広(現 アイクリスタル取締役)に相談しはじめていました。 - 2019年11月 アイクリスタルを起業
宇治原、牧野、大学院の先輩の4人でアイクリスタルを起業しました。
オフィスは大学内のインキュベーション施設で、大学が廃棄処分にした壊れかけのテーブルやイスをもらい受けてスタートしています。
PIの事業化に邁進したい思いと、大学院での研究も妥協したくないという思いに加え、起業後の資金調達や会社経営を学ぶ必要性を考えた結果、設立時は経験者の牧野に代表になってもらいました。
また、SiCの研究開発、製造も事業目的に入れました。
社名の由来は「AI × Crystal(半導体結晶材料)」で「アイクリスタル(AIxtal)」です。
- 2020年 起業直後から事業活動が停滞
新型コロナの影響で顧客訪問ができなくなりました。顧客からウェブミーティングで説明を受け、製造データをもらい、解析して製造プロセスの最適化を行うのですが、重要機密である生産設備、製造装置は写真や映像では見せてもらえません。
見せてもらえないなら質問を重ねて言葉とイラストから想像するしかありません。焦燥感のなかで設立メンバーの大学院の先輩との別れを経験するなど、まさに身を削るような修行の時期でした。
その一方で、関翔太が取締役として加わり、オンラインで完結する事業を模索しました。
この2020年から2023年初までのコロナ禍の活動制限と苦悩がヒアリング力と思考力を高め、精神的に鍛えられて今につながっているように感じます。
- 2021年3月 代表に就任し、プロセスインフォマティクス事業に特化
大学院修士課程を修了することができ、アイクリスタルの代表に就任しました。
コロナ禍が続く中、PI案件が少しずつ増えはじめました。当社が製造も事業に掲げていることと、顧客が製造データを当社に渡すことがコンフリクトになっていると感じていました。そのため、わたしが代表に就任したタイミングでアイクリスタルはプロセスインフォマティクス事業に専念する決断をしました。
- 2021年 6月 初めての国プロ
「NEDO先導研究プログラム/マテリアル革新技術先導研究プログラム/SiCバルク成長技術の革新に向けたプロセスインフォマティクス技術の研究開発」に採択され、初めての国プロに取り組みました。
これ以降、2022年「NEDOグリーンイノベーション基金事業/次世代デジタルインフラの構築」、2023年「NEDO先導研究プログラム/新産業・革新技術創出に向けた先導研究プログラム/半導体プロセスメタファクトリーの基盤技術開発」と続きます。
- 2023年 年商1億円に
顧客を訪問できるようになり、5期目にして年商1億円を達成しました。
積極採用を開始し、社員数が前年の7名から17名になりました。
応用物理学会をはじめとする学会や民間の展示会に積極的に参加するようになりました。 過去3年間の遅れを取り戻すためにも、猛烈に動き、顧客を飛び回りました。 - 2024年2月 はじめての資金調達
積極採用を開始した2023年夏から資金調達を模索し始め、年明け2月にSBIインベストメントさんとディープコアさんをはじめとするVCさんから2.7億円を調達しました。 初めての資金調達であり、私たちの手がける事業に深く共感をしてもらえる新たな株主の皆様に出会え、とても心強く感じました。事業の方向性にさらに自信を持つと同時に、期待と信頼に応えるために事業を成長させていく覚悟を持った瞬間でした。
- 2024年 秋 名古屋大学内のTOICに移転
名古屋大学との間で産学協同研究部門「アイクリスタル半導体プロセスインフォマティクス産学協同研究部門」を設置し、大学内に新築されたTOICに移転しました。
また、週刊東洋経済 すごいベンチャー100に選出してもらうことができました。
この頃から自社ウェブサイト上でテックブログを開始しています。アイクリスタル産学協同研究部門の設置と本社の移転のお知らせ
週刊東洋経済【特集】「すごいベンチャー100」2024年最新版に掲載されました
- 2025年5月 Forbes 30 Under 30 Asia 2025に選出
アジア太平洋地域で影響力のある30歳未満の人材のAI部門に選んでもらうことができました。
アイクリスタルの全メンバーの努力と成果の蓄積のおかげだと思っています。Forbes 30 Under 30 Asia 2025に、代表取締役 髙石 将輝が選出されました

- 2025年9月 CMOSイメージセンサーの事例公表
仮想空間上に構築したプロセス全体最適化プラットフォーム「メタファクトリー」を⽤いて
シリコンウェーハ製造からCMOSイメージセンサー(CIS)製造まで合計30⼯程を全体最適化し、従来品⽐ 約70%のノイズ特性改善に成功した事例を発表しました。
グローバルウェーハズ・ジャパンさん、ソニーセミコンダクタマニュファクチャリングさん、名古屋大学との共同発表で、半導体開発において大きな達成感を感じました。デジタルツインによるプロセス全体最適化で半導体CISノイズ70%低減!

- 2025年9月 2回目の資金調達
ジャフコグループさん、SBIインベストメントさん、ディープコアさんのファンドから4.5億円を調達しました。
この調達を機に、ステークホルダーや社内の組織が大きく広がり、チームとしての頼もしさを日々実感すると同時に、背負う責任もさらに大きくなり身が引き締まりました。
製造業の現場が抱える課題解決へより深く貢献し続け、1日も早くプロセスインフォマティクスを業界の当たり前のものとして社会に定着させていくのだという覚悟がさらに強まりました。
- 2026年3月 現在のアイクリスタル
経営陣が充実し、正社員も45名になりました。そのうち博士号保持者は8名と、専門性が高く、多様なバックグラウンドを持ったチーム体制が整い始めています。プロジェクト数も着実に増加し、累計63社140件を超え、多くのお客様から信頼をいただけるようになりました。
データ駆動型の製造が業界の当たり前になるように、頼れるメンバーとより一層事業を拡大し、プロセスインフォマティクスを広く普及させ、モノづくりに深く貢献してまいります。
