難加工材料GaNの加工一貫最適化に向けた第一歩 〜1工程削減〜
窒化ガリウム(GaN)は硬くて脆い結晶材料のため、加工難易度が非常に高く、GaNウェハに占める加工費の低減が求められています。研削工程を最適化したところ、研削工程の段階で高い平坦性を実現したため、後続の1工程を削減できました。
背景
窒化ガリウム(GaN)は現在主流のシリコン(Si)に比べ優れた物性を有し、次世代半導体材料として 注目されています。しかし、GaNは硬くて脆い結晶であり、加工難易度が非常に高く、加工コストを含めたウェハ価格の約半分が結晶加工由来のコストと言われているほど、特に結晶加工に課題があります。
課題
GaNの加工プロセスでは材料固有の特性に加え結晶自体の製造コストの高さから、加工条件は置きにいった加工条件で多段に慎重に行われているのが現状です。そのため、結晶割れのような致命的な不良が起きにくい一方で、必然的に加工段数が多くなり、スループットは低く、加工コストの高止まりしていました。
アプローチ
今回は研削工程を複数段、その後に研磨工程を複数段行う加工プロセスをターゲットとし、特に前段の研削工程に着目して、5つの研削条件をベイズ最適化で最適化することで、研削工程での加工面粗さの最小化を目指しました。
得られた結果
16条件を学習用データ、4条件をベイズ最適化により探索し、わずか19回目の加工実験で、事前に目標値として定めた表面粗さを大幅に達成する加工条件を発見しました。この最適加工条件は熟練エンジニアでも試さない組み合わせの条件でした。さらに、多段の加工プロセスの中で前段に行われる研削工程の時点で、平坦な加工面を得ることができたため、後段の加工プロセスを1つ削減することにも繋がりました。工程数の削減は、段取り時間の短縮や消耗品コストの削減、工数削減、加工機の効率的活用、スループット改善に繋がる成果となりました。
今後の展望
今回は研削工程の最適化で加工コスト削減を目指しましたが、今後はより後段の研磨工程までを含めた加工一貫最適化により、加工コストのさらなる削減が期待されます。